研究概要 |
本研究は,発光、光増幅特性を有するナノ結晶シリコン(nc-Si)と,フォトニック結晶(PhC)とを融合させることによって,高効率な発光、光増幅素子を実現することが目的である。平成19年度は,SiとSiO_2の同時スパッタにより作製されるnc-Si薄膜の表面に,簡便な二光束干渉露光法とプラズマエッチングを用いて2次元PhCを加工し,nc-Si薄膜からの発光の光取り出し効率向上を試みた。 まず,高周波スパッタ装置を用いてnc-Si薄膜を成膜した。基板には溶融石英板を用い,SiO_2プレート(直径80mm)上にSiタブレット(直径20mm)を4枚のせて同時スパッタした。成膜後,電気炉により1000℃で20分間の熱処理を施した。次に,作製したSi:SiO_2膜上にフォトレジストを塗布し,二重干渉露光を行った。光源にはHe-Cdレーザ(波長325nm)を使用した。露光、現像後,ECRエッチング装置を用いてドライエッチングを行った。エッチング後の試料表面を原子間力顕微鏡(AFM)にて観察したところ,三角格子状の2次元PhCが形成されていることを確認できた。格子定数は805〜820mm程度であった。この試料の室温におけるフォトルミネッセンス(PL)特性を測定した。励起光源はHe-Cdレーザ(波長325nm)を使用した。その結果,同一試料において,PhCが有る領域のPLが,PhCが無いに領域比べて強く観測された。発光ピーク付近でそれぞれの強度を比較したところ,約1.5倍であった。今回作製した試料からの発光は,波長830nm付近がその強度のピークとなっており,形成するPhCを発光波長も限定できる構造とすれば,光インターコネクション用光源等への応用の期待が持たれる。
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