研究課題/領域番号 |
17360156
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
中本 高道 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助教授 (20198261)
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研究分担者 |
長濱 雅彦 東京芸術大学, 美術学部, 助教授 (70345338)
石田 寛 東京農工大学, 大学院共生科学技術研究部, 助教授 (80293041)
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キーワード | 匂い記録再生システム / 匂い調合装置 / 匂い調合装置 / エレクトロスプレイ / 短時間フーリエ変換 / ロバスト性 / 果実臭 / 濃縮管 |
研究概要 |
視嗅覚情報の同時記録再生システムは、ビデオカメラによる映像と匂いセンサによる匂い記録を同時に行ない、ディスプレイで映像を再生するのと同時に匂い調合装置により映像に同期させて匂いを再生させる装置である。 匂いセンサ用センサ素子としては水晶振動子ガスセンサを使用するが、均一に感応膜を塗布する方法が重要である。本年度は昨年度までの霧化器やDCエレクトロスプレイ法に加えてACエレクトロスプレイ法に関して、検討を行ない、成膜条件の最適化を行い損失を抑えて塗布することができた。 また、大気中を漂う香りの濃度は激しく濃度変動するので、濃度変動にロバストなセンシング法を検討した。短時間フーリエ変換を利用した匂い識別方法を用いて、アップルやマスカットの匂いの識別率がセンサ応答をそのまま識別するときに比べて大きく向上することがわかった。また、大気中の匂い濃度変動を低減するもう一つの方法として濃縮素子を用いて匂いをいったん蓄積し、その後匂いを加熱脱着させる方式も検討した。前者に比べてより匂い源が遠方にあっても匂いを検出できるが、まだ時間がかかるので時間短縮が課題である。 さらに多成分の匂い記録再生システムに関しても実験を行った。オートサンプラで匂い調合を行う装置と水晶振動子ガスセンサを組み合わせたシステムにより、13種類の要素臭を準備して、アップル、バナナ、ピーチ、オレンジ、レモンの匂い記録を行なった。オートサンプラは最大96種類までの要素臭の調合が可能で、水晶振動子ガスセンサは最大25個使用できるようにした。センサアレイの特徴抽出は従来用いていた主成分分析法に代わって正準判別分析法を用いて、匂いレシピの探索には2値量子化法を用いた。その結果、上記5種類の匂いを再現性よく記録することに成功した。また、記録した匂いを官能検査で多くの人に嗅いでもらった結果対象臭の特徴を持った匂いが再生できていることがわかった。この結果を論文投稿と学会発表を行ったところ、主に海外のメディアで多く報道された。
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