研究概要 |
光導波型マイクロホンに関しては,雑音低減とシリコン基板の利用に重点を置き,最小検出可能音圧レベル80dB-SPL(@1kHz)を目指した。雑音低減に関しては,まず光検出回路の最適設計を行い,20kHz付近において大幅な雑音低減に成功した。また,雑音の原因として音波による光学系の振動が大きな問題となっていたため,光マイクロホンに光ファイバを接続して,誘起振動雑音の低減を試みた。光ファイバ接続により光導波路入射側の軸ずれをなくしたにもかかわらず,大幅な雑音低減は確認できなかった。これは,新たに光ファイバ入射側における軸ずれの影響が発生したためと考えられ,今後更なる対策が必要である。ところで,今年度購入したバビネ・ソレイユ補償板により初期位相の調整が可能となり,マイクロホン信号が容易に得られるようになった。平成18年度の研究では,当初目標の最小検出可能音圧レベル80dB-SPLを達成できなかったが,出力光強度の増大及び軸ずれの抑制に加え,音圧感知構造の変更(外部振動板やカンチレバ構造の利用)により,最小検出可能音圧レベル60dB-SPLの実現は十分に可能であると考える。 一方,光イヤホンに関しては,小孔付半密閉空間の圧力維持特性について理論と実験の両面から考察を行った。ところで,半密閉空間の圧力維持時間の逆数が光イヤホンの低域遮断周波数となるため,圧力維持時間の考察は非常に重要である。理論解析から,圧力維持時間は,半密閉空間の体積に比例し,小孔の面積に反比例することが分かった。定性的ではあるが,実験においても理論結果とほぼ同じ関係が得られた。しかし,時間の大きさには3桁にも及ぶ違いが現れた。今後,理論と実験の相違について検討し,早急に改善する必要がある。
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