研究概要 |
最終年度の平成19年度は,「ガラス基板光導波型マイクロホンの周波数特性の評価」と「シリコン基板光導波型マイクロホンの感度向上」を重点課題とし,研究を行った。また,光イヤホンにおいては,マイクロホンの基本構成について考察を行い,半密閉空間の小孔面積と遮断周波数の関係について調べた。 ガラス基板光轍型マイクロホンに関して,ダイヤフラムサイズ20mm×20mm×0.15mmのマイクロホンを試作し,周波数特性の評価を行った。実験では,印加音圧レベルを100dB-SPLに設定し,雑音の影響を避けるためロックインアンプを使用した。lkHz以下の周波数では,照射音波による光軸ずれの影響が大きかったため,実際に評価できた周波数帯域はlkHzから10kHzであった。3個の試作マイクロホンの共振周波数は2.7kHz,3.3kHz,3.7kHzで,理論値3.4kHzとほぼ同じ値が得られた。また,共振周波数より低い周波数帯域では,マイクロホン信号がほぼ一定で,理論予測と一致する結果が得られた。 シリコン基板光導波型マイクロホンに関しては,感度向上のため,光導波路構造と作製プロセスの見直しを行った。昨年度は,熱応力の影響を低減するため,バッファ層として二酸化シリコンをスパッタで成膜したが,ウエットエッチングに対する耐性が弱く,出力光強度の低さや消光比の悪さの原因となっていた。光導波路構造を装荷型とし,リフトオフ法により導波路を作製したところ,マイクロホン感度が約10倍向上し,80dB-SPLの音波(lkHz)の検出に成功した。なお,本研究ではダイヤフラムサイズを10mm×10mm×40μmとした。また,周波数特性を測定したところ,共振周波数が5.3kHzで,理論値5.6kHzとほぼ同じ値が得られた。
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