次世代半導体デバイス製造のためのリソグラフィ装置で用いる中心波長13.5nmの極端紫外(EUV)光源は、中間集光点で115W以上の光パワーが供給できる高輝度と7kHz以上の繰り返しで百億ショット以上という長寿命が要求されている。特に、1ショット当たり10mJ以上という高いEUVエネルギー出力の実現のために新技術の開発が切望されている。本研究の目的は、ナノ秒レーザーで誘起した円錐プラズマが中心軸に集束する特性を利用して、集束した線状プラズマにパルスパワーを注入することで高輝度の極端紫外光源を実現することにある。本研究で用いた錫(Sn)は、13.5nm近傍に強い発光スペクトルのピークを示す物質である。Sn円錐貫通孔ターゲットに繰り返しレーザー照射を試み、計測されたEUV発光強度から光源特性を評価した結果、初期は孔径の増大とともに大きくなり、貫通孔が円筒型に変化した後、ほぼ一定値をとることが分かった。そこで、新たにストレートな円筒型貫通孔を持つSnターゲット構造を提案し、パルスレーザーの集光照射によるアブレーションで生成する円筒状プラズマからのEUV発光強度の時間変化を測定した結果、平板に比べて発光強度が増大し、指向性の高い放射角度分布が得られることが明らかになった。貫通孔からターゲット後方へ放射されるEUV強度の角度分布を計測して変換効率を評価し、EUVをリソグラフィ用光源として利用するために繰り返しレーザー照射に対するEUV発光強度を計測した結果、連続使用できる可能性を示した。以上の成果から、高性能EUV光源として、貫通孔入口へパルスレーザーを集光照射して孔内部に生成する円筒状プラズマから放射される極端紫外光を、デブリに汚染されない難い貫通孔出口後方から取り出して利用する新しい回転ターゲット方式の「レーザプラズマ光源」を提案し、特許出願を行った。
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