研究概要 |
19世紀末のフィルム映画の発明以来,大衆文化やマスメディアの記録媒体として膨大な量の映像が記録されてきた.これらフィルム映像の多くは,文化的,芸術的そして歴史的価値が高い.これらの古いフィルム映像は,様々な劣化を生じているために,ディジタル信号処理による修復が必要となる. 今年度は,以下の修復法について研究して成果を得た. 1. M推定を用いた高速なフリッカ除去法 人工的にフリッカを付加した映像に対して性能評価実験を行った.その結果,本提案法によって得られた参照画像を用いることにより,提案法では従来法と比較して計算時間が19分の1に改善された. 2. MRFモデルに基づく高速かつ高精度なブロッチ検出法 人工的にブロッチを付加した映像に対して提案法の性能評価実験を行った.その結果,本提案法は、これまでに提案されてきたMRFモデルに基づいた検出法と比較して計算時間が5分の1に改善された.また,移動物体のエッジに起因する誤検出されたピクセル数が大幅に減少されたことを確認した. 3. フリッカ除去およびブロッチ検出のための参照画像の作成法 人工的にフリッカとブロッチを付加した映像に対して性能評価実験を行った.その結果,フリッカとブロッチの影響を抑制した参照画像が得られることを確認した.
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