研究概要 |
本年度は,T-Codeで生成される符号木に着目し,その性質を明らかにした.T-codeは, T-augmentationという符号木の成長規則により生成されるが,その逆操作であるT-decompositionを用いてデータ系列を分解することにより,データ系列の複雑さ(T-complexity)を求めることができる.昨年度の研究では,そのT-complexityを乱数検定に利用できることを明らかにしたが,本年度は,T-complexity最大系列の性質について検討を行なった.具体的には, (1)T-complexity最大系列の生成方法を提案した. (2)さまざまな検定手法を用いて,T-complexity最大系列の特性を調べた. (3)上記の手法を,LZ-complexity(Lempel-Ziv complexity) -も適用した.を行い,その結果,下記のことを明らかにした. (4)LZ-complexityを基準とすると,T-complexity最大系列は,乱数系列よりも大きな複雑性を有する (5)乱数検定セットNISTSP800-22によりT-complexity最大系列を検定すると,多くの検定でP値が1に偏り,検定合格率も1に近い値となる.しかし,DFT再検定,Universal統計検定,Random Excursions検定の合格率は非常に低い.これは,T-complexity最大系列は,特定の周波数成分が大きい特徴があるためである.
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