研究概要 |
本研究は,個人の生活空間内に網状に張り巡らされるユビキタスネットワークを無線技術で構築する際に発生するユーザ間の電磁干渉問題を解決し,各ユーザにとって最適なユビキタスネットワークを構築するため,電磁波の放射を最大限抑えつつ,電波の空間多重効率を大幅に向上させるための無線伝送技術の開発絵を目指している. 今年度は,被干渉制御技術として,送信時に信号スペクトルをダイナミックに制御すると共に,受信時に,干渉レベルの高い周波数成分を削除することで,干渉信号レベルを低減する,「ダイナミックスペクトル制御技術」について検討した.その結果,検討した方式が,受信信号中の干渉信号レベルの抑圧に有効であり,かつ,送信時に干渉レベルの低い周波数成分を有効活用することで,提案方式の効果が増すことを確認した. 与干渉制御技術としては,屋内などの閉空間において電磁界レベルを低く抑えなくてはならない空間が存在するとき,マルチホップ通信技術の適用により,一定の空間を非電磁空間とするための技術を検討した.また,提案方式により,屋内空間における電磁界環境と通信環境の両者を考慮しつつ,ユーザの要求を最大限満足させる情報通信環境構築に関して,開発指針を確立した. さらに,空間多重伝送試験装置の開発を行った.ハードウェアは,送信アンテナ4本,受信アンテナ4本,8チャネルAD変換回路,8チャネルDA変換回路,および信号処理回路から構成される.信号処理回路はFPGAを中心とするリコンフィギャブルデバイスで構築されており各種適応無線空間構築技術が実装できる.また本年度は開発したハードウェアにOFDM/MIMO伝送システムを実装し基本的な伝送特性の測定実験を可能とした.
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