研究課題/領域番号 |
17360191
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
斉藤 保典 信州大学, 工学部, 教授 (40135166)
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研究分担者 |
川原 琢也 信州大学, 工学部, 淮教授 (40273073)
井上 直人 信州大学, 農学部, 教授 (80232544)
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キーワード | レーザー / 蛍光 / 植物 / 健康診断 / 計測工学 |
研究概要 |
研究の最終目標を「レーザー誘起蛍光法による植物健康診断法の確立」に置き、平成18年度は前年度に製作を完了した各種装置を用いて「樹木生葉の蛍光および成分に関する基礎データの蓄積」を行った。 1)樹木生用の蛍光スペクトル検出・データ蓄積:蛍光ライダーを用いて、ケヤキおよびサクラの生葉を対象として、生育過程とレーザー誘起蛍光スペクトルの変化を計測した。樹木は蛍光ライダーから約20mの距離に自然生育している。ケヤキ生葉については、蛍光スペクトル成分のうち740nmにピークを持つ蛍光成分の強度が激しく変化した。685nm成分と青・緑成分は、成長とともに単純な増加を示すだけであった。サクラの紅葉時期には740nm蛍光成分はほぼ0となり、ケヤキの成長時期とは逆の動きを示すことが分かった。 2)多波長蛍光成分同時画像化実験:4波長同時画像化システムを用いて、トマト生葉の水ストレスによる蛍光変化の画像を計測した。水不足の影響を受け葉に萎えの症状が現われる2-3日前に、蛍光の460nm成分に蛍光強度の上昇が見られた。萎えの状況が進み葉が丸まっていく過程では、460nm成分がさらに強くなった。740nm成分は逆の動きを示したが、葉の中心部分の強度は大きな値を維持したままであった。 3)蛍光起源物質の同定・定量化実験:1)の試料を計測終了後に採取し、HPLCで成分同定と定量化を行った。クロロフィル、べ一タカロチン、キサントフィルを分析した。初期解析結果からは、740nm蛍光成分はクロロフィル、460nm蛍光成分はべ一タカロチンがそれぞれ担っているようである。 植物蛍光スペクトルの成長過程による変化に関しての基礎データが得られ、レーザー誘起蛍光が植物健康診断のための指標となることを実証できた。次年度はより多くの事例について計測を行い、データの蓄積すすめていく。
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