研究課題
基盤研究(B)
悪性腫瘍などの早期発見には、組織形態だけでなく組織性状に関する画像情報が必要である。本研究は、以前に提案し基礎実験を行ってきた光アシスト超音波速度変化イメージング法を発展させ、新しい医用診断装置を試作することを目的にしている。まず、単素子の超音波トランスデューサーの走査、超音波パルスの送信、受信、波形の記録、超音波速度変化量の検出、画像構成、表示まで自動で行えるシステムを作製した。得られた画像は、表面から特定の深さの光吸収分布を示しており、光吸収情報が超音波速度をプローブとして得られることを確認した。実用装置としては、より高速に光・超音波速度変化画像を得ることが重要であり、そのために、超音波アレイトランスデューサーを用いた装置の試作を行った。RF信号端子を有する超音波エコー診断装置を購入し、信号処理ボードを取り付け、アレイトランスデューサーの周囲に半導体レーザーを複数個配置した装置を作製した。超音波速度変化画像を得るために、信号波形を小さい領域(送信パルスの幅程度)に分け、それぞれの領域の光照射前後の波形の相関をとり、走査線ごとに演算を行い2次元画像として表示した。高散乱媒質中においても内部の吸収分布を得ることができた。近年、DDS(Drug Delivery System)等における標識としてナノ粒子が検討されているが、現在までに有効な堆積分布モニターはなく、本方式の適用が期待される。近赤外域に吸収ピークをもつ金ナノロッドを用い、寒天に混ぜ、鶏肉に挿入し、ファントムとした。超音波速度変化画像は、ファントム深部に分布した金ナノロッドの分布領域を明瞭に示していた。分光特性、3D分布測定も行った。本方式により、生体擬似ファントム中で金ナノ粒子分布領域を検出することができ、生体深部でも適用可能な医療診断、治療のための画像診断装置としての可能性が示された。
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