研究概要 |
本年度の研究成果は以下のとおりである. 1.消費電力とQoSの最適化のためのリソース配分法 メモリ,通信帯域などのマルチリソースのもとでの公平なQoSを達成するために,マルチエージェントシステムの協調制御の手法を拡張した動的リソース配分方法を提案した.本手法では,ジョブをリリースしていないタスクのみで情報交換し,リソースの再配分を行うために過負荷状態に絶対にならない点が特徴である.さらに,弾性タスクモデルにおいて力を公平性の評価指標として低消費電力化とタスクの公平化のトレードオフ問題を定式化し,エネルギーアウェアな弾性タスクスケジューリング法を提案した. 2.アプリケーションの動作検証とその応用 マルチエージェントネットを用いてAGV制御アプリケーションのモデリングを行い,タスクの割り当てとスケジューリングが行われているかどうかの動作検証を行った.さらに,マルチエージェントネットの可到達解析の手法を提案した.この手法を応用することで,動作の形式的検証の効率化が期待される. 3.分散スーパバイザの設計 推論に基づく分散スーパバイザの存在条件を明らかにし,その設計法を提案した.本手法を用いると,より広範囲な分散組込み制御システムに対する分散監視機構が構成できるようになった. 4.言語測度に基づくリアルタイムスケジューリング 従来の言語測度を拡張することでハードリアルタイムタスクも扱えるようになった.言語測度を用いて,Jensenの効用関数を表現する方法を提案し,離散事象システム理論を応用することで,組み込みシステム全体の効用関数を最適にするスケジューリングを求めた. 5.組み込み切り替え制御システムに対して,制御器の切り替えをハイブリッドオートマトンでモデル化し,状態フィードバック制御を応用して,サンプル値切り替え制御器の設計法を提案した.
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