研究概要 |
本研究は,以下のような3つの内容に分けて捉えられる。 (1)メモリベース型制御系の構築 (2)制御性能評価手法の確立 (3)上記(1)(2)を融合したコンカレント型制御システム(性能評価駆動型制御システム)の構築 まず,(1)については,実用性を念頭におき,制御パラメータの修正の際の修正ゲインの汎用的な設定方法,初期データベースの構築方法について考察した。本方法の有効性については,研究協力者であるオムロン株式会社山田隆章氏の協力を得て,実際の温度制御実験を通して検証済みである。本件の内容は,近く広島大学とオムロンとの共願による特許申請の予定である。次に,(2)については,制御性能評価手法の代表的手法であるHarris Indexについて考察をした。とくにメモリベース型制御系との整合性について検討を行った。この研究については,研究協力者であるアルバータ大学Shah教授を訪ね,同教授とのディスカッション,ならびに知識提供によりスムースに行うことができた。(3)については,3月現在において行っているものであるが,(2)で考察したHarris Indexの評価結果に基づいて,(1)でのメモリベース型制御系における制御パラメータを修正する一つの形を作り上げることができた。 この一方で,以下にあげる問題点も明らかとなった。 (1)Harris Indexによる評価では,通常の制御性能を評価する際,とくに本研究で取り上げているPID制御の制御性能評価値が極めて小さく,評価値の変動が分かりにくい。別途新しいIndexを考える必要がある。 (2)実装を考えるとデータベースに必要となるメモリ容量の大きさが障害となる。これを回避するデータベース構築方法,あるいはデータベースに変わる何らかの方法を考察する必要がある。 以上のような問題点に対してさらに検討を進め,平成18年度において,より実用性の高いコンカレント構造を有するメモリベース型制御システムを構築する予定である。
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