研究概要 |
研究計画書に基づいて,本年度は以下のように研究を進めた。 平成17年度に得られたCFRP板のRPCMへの接合に関する研究成果から、構造的に最も効果的な接合方法を採用し、幅550mm、長さ1800mmで,厚さ30nnのプレキャストRPCMと厚さ100mのFRCからなる無筋コンクリート梁で、幅が100mmで厚さ4mmのCFRP板をストラップとする梁供試体を12体作製し、静的載荷試験を行った。荷重は2点載荷及び輪荷重である。さらに、無筋コンクリート床版として幅1800mm、長さ2400mmで厚さ等は、前述の梁と同じとし、ストラップを中央に1本及び中央から800mm間隔で2本の計3本を配置した床版を作成し、部材中央に輪荷重を載荷した。静的載荷及び定点繰り返しの動的載荷試験によりその耐力を明らかにした。 得られた結果をまとめると次のとおりである。 梁の曲げ実験において、部材の底部に30mm厚さのRPCMを用いることで、ひび割れ進展の抑制に効果がみられた。しかし、ひび割れの分散は見られず、荷重の増大とともに数本のひび割れが幅、長さともに進展した。終局時には、載荷点付近のコンクリートの圧壊に先立ち、CFRP板の定着部における板の長さ方向の割れが生じ、ストラップによる引張力の限界が本構造の耐力を支配する結果となった。 一方、床版載荷試験結果から、初期ひび割れの発生荷重の顕著な増大は認められないものの、橋軸方向のひび割れが自由端に達し貫通するまでの荷重が、初期ひび割れ発生荷重の8倍に増大した。したがって、RPCMのひび割れの進展を抑制する効果が大きいことが判明した。床版の破壊モードは、載荷点周辺に放射状にひび割れが進展するとともに、両側支点に沿った負のモーメントによる上縁部のひび割れが大きく貫通し、さらに載荷部が圧壊により陥没した。終局状態においてCFRPストラップは、一部に軸方向の割れが生じた。
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