| 研究概要 |
本研究では,ハイブリッド連続繊維補強材の設計思想を確立し,実用的なハイブリッド補強筋,補強シートおよびそれらの応用手法を開発することを目的として実施した.本年度の研究成果としては,まず,前年度の研究を継続検討し,(1)繊維の破断過程における連続繊維のエネルギー吸収性能の有効性を定量的に究明し,PBO繊維などの有機繊維材を含む多種多様な連続繊維の破断の瞬間に散逸する衝撃エネルギーを分析して有意なハイブリッド配合方法を検討した.(2)光ファイバをハイブリッドロッドやシート中に配置して自己センシング可能としたインテリジェント構造材およびそれらによる構造形式を新たに提案し,その有意性を実験的に検討した.(3)ハイブリッド連続繊維複合材を試作して力学特性,耐疲労・クリープ特性およびセンシング性状を実験的に究明した.次に,RC曲げ構造物に対するハイブリッド連続繊維補強筋および補強シートの補強設計,補強効果の評価を実験的に行うとともに,変位適合条件や各種材料の応力-ひずみ関係を導入した算定法の適用性を究明した.その上で,今まで成果を挙げてきた連続繊維シートの補強設計・解析法,破壊力学的評価手法を用いて,ハイブリッド連続繊維シートの剥離・段階的な繊維の破断およびコンクリートひび割れを評価する非線形有限要素解析手法を確立した.さらにこれらの手法を応用し,補強構造物の破壊過程を究明した.さらに,前年度までの研究成果や本年度の検討成果として今までデータを蓄積している単一種類の連続繊維を接着・補強する技術に関する知見を活用して,開発されたハイブリッド連続繊維筋とシート,接着界面,補強補強物の構造性能をより確実に検証した.そして,既存研究と比較することでハイブリッド連続繊維材の各種構造システムにおける有効性と実用性を定量的に評価した.
|
