研究概要 |
本研究課題を遂行するために、本年度は、コンクリートの製造上最も重要な機械の1つであるミキサを対象とした。ミキサは"練混ぜ性能"という基本性能を有し,2軸強制練りミキサの練混ぜ機構は、全体循環流動と,局部交錯流動"から成る。"練り"に寄与する局部交錯流動は,2つのらせん流動が交錯する際に発生するブレード周辺のせん断流の大きさが重要であると考えられているが、未だにせん断流の圧力の大きさを定量化するには至っていない。高性能なミキサを開発するには、局部交錯流動を活発にする必要があり、そのためには、せん断流の定量的評価が必要である。 本研究では、モデルミキサのブレード表面に小型の圧力センサ(以下,センサと称す)を取り付け,圧力変化の測定を可能にするシステムを開発した。練混ぜ性能が異なる2種類のデルミキサを使用し、モデルモルタルは,高吸水性高分子樹脂を水に添加して得られる無色透明な粘性流体(密度1.0g/cm^3)を用いた。センサの取付け位置は,局部交錯流動の違いによるミキサ内の挙動を比較するため,局部交錯流動が発生する中央部と発生しない端部の2箇所とし、ブレード軸の回転速度を4段階に変化させ、センサを取り付けたブレードがミキサ外側水平位置にあるときを回転角度0度として、軸回転角度とブレード表面の圧力の変動(圧力波形)を計測した。投入材料には,モデルモルタルの他に水道水を用いた。指標として、ブレードが1回転した時にかかる全体圧力平均値とブレードが局部交錯流動発生領域内に存在するときの圧力平均値を求めた。 実験の結果、同一センサ取付け位置では,すべてのミキサ回転速度において全体圧力平均値よりも交錯領域圧力平均値の方が大きく、センサ取付け位置で比較すると,交錯領域が大きく練混ぜ性能が良いミキサでは、中央と端部との圧力差が大きくなり、交錯領域に形成されるせん断流の圧力が計測できることが明らかになった。
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