研究概要 |
本研究は,車両通過時に道路橋モジュラー型エクスパンション・ジョイント部から発生する騒音について,その発生メカニズム,人間への影響,および騒音制御法を解明することを目的とする。最終年度は実橋計測データの分析,振動音響連成解析,音響心理実験により研究を進めたが,その研究実績は以下のとおりである。 1.平成18年度までに実測した4主桁プレートガーダー橋およびPC箱桁橋での騒音、振動データを詳細に解析して。複数の周波数成分の音源を同時に,しかも時間変化に着目して探査し,ジョイント騒音の各周波数成分の発生源,発生メカニズム,および伝播特性を考察した。 2.モジュラー型ジョイントおよびその周辺橋梁部の振動音響連成解析を行って,現象の解明を解析的に行うとともに,統計エネルギー解析法を適用し,実測データとの併用で騒音パワーや放射音パワーを算出して比較することで,各周波数成分に対する音源の寄与度をより定量的に考察した。 3.道路橋ジョイント部からの騒音の時間周波数特性を基に,実験室レベルでの音響心理試験を行って,モジュラー型ジョイント部からの騒音の人間への影響を解明した。具体的には,現地実測された騒音を実験室で再現し,走行車両や受音点の違いに着目したアノイアンス実験をシステマティックに行って,人間が不快に感ずる騒音成分の特定を試みている。 4.3年間の研究成果を総合的に考察し,道路橋モジュラー型エクスパンション、ジョイント部での騒音の発生メカニズム,人間への影響,最適な騒音制御法に関して結論を得た。本研究を通じ,モジュラー型ジョイント騒音はミドルビーム、止水ゴム部の空間圧縮音によって特徴付けられること,その制御には止水ゴム空間のゴム系材料での充填が効果的であること等,工学的に極めて有用な知見を得ている。
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