研究概要 |
著者らは,正方形断面のRC橋脚を対象にこれまで軸力-曲げ-ねじりが同時に作用する時(いわゆる複合応力状態)の復元力特性や相関曲線を一連の実験によって明らかにしてきた,まだまだ解明すべき課題も多く,本科研費研究では以下の諸点について研究を行った.実験供試体の寸法は400×400×1600mmである. 本課題の初年度では先ず,いわゆる二軸曲げ状態に対する実験を行った.初期軸応力はコンクリート強度の10%とし,帯鉄筋間隔30mmの供試体に対し,ねじり卓越型,中間型,曲げ卓越型,純曲げ型の4タイプの載荷を行った.実験の結果,二軸曲げの影響は曲げ卓越型の載荷状態ほど顕著となるため,一軸曲げにおいて作成した曲げねじり相関曲線を,特に曲げ卓越の二軸曲げ状態において使用することは危険側であることがわかった.最近の直下地震においては鉛直地震動を無視できないことが指摘されているため,二年目は軸力(鉛直地震動に相当),曲げ及びねじりの3者を交番載荷させた実験を行った.この実験は,帯鉄筋間隔30mmの供試体に対し,純曲げ型,中間型,純ねじり型の3ケースの載荷を行った.各ケースに対し,変動軸力の最大振幅を想定自重の50%とし,曲げ・ねじりが最大のときに軸力が最小となるタイプと,軸力が最大となるタイプの載荷を行った.最終年度は帯鉄筋間隔60mm,初期軸力なしのケースに対し,純曲げ,曲げ卓越,中間,ねじり卓越,純ねじり載荷パターンで5供試体の破壊実験を行った. これらの実験結果とこれまでの実験結果を合わせた合計30体の実験データ(二軸曲げ4体、変動軸力6体は除く)に関し,剛性低下率と等価減衰定数の定式化を行った.また,有限要素解析によって複合応力状態の復元力特性が評価可能であるか否かを検証するため,非線形有限要素解析を行った.その結果,純ねじりの単調載荷に関しては精度良く実験を再現できるが,交番載荷に関しては,今後解析上の工夫が必要であることがわかった。
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