研究概要 |
平成17年度には,以下の項目について検討を行った. 1)構造物の長期劣化メカニズム解明 阪神高速道路公団のアルカリ骨材損傷橋梁(89基)の点検データを基に,現地調査,データ収集,分析を行った.まず,ひび割れや圧縮強度の長期劣化特性評価より,30年間に亘り劣化が進行していることを明らかにした.ついで,鉄筋破断発生位置とひび割れ状況の関係に着目した分析を実施し,鉄筋破断位置近傍に必ずコンクリートのひび割れが発生していることが明らかとなった.最後に,コアー膨張試験と発生ひび割れ量の関係についての考察を実施した. 2)鉄筋破断メカニズム解明 帯鉄筋が破断に至る要因を明確にするための鉄筋単体による感受性評価試験を行った.その結果,旧節形状,鉄筋曲げ加工半径が小さい場合には,鉄筋の曲げ加工面での大きなひび割れの進展が確認された.具体的には,曲げ加工半径1.0dの場合,平均亀裂深さが旧節形状鉄筋は0.254mmであるのに対し,現行鉄筋は0.017mmと,10倍以上の差異があった.また,定荷重試験の亀裂の進展観察結果より,曲げ戻しを行った後,降伏応力に近い引張力が作用する場合,亀裂の最奥部に二次亀裂が発生し,期間10ヶ月で亀裂深さが最大で20倍進展することを確認した. 3)RC梁のせん断耐力劣化現象の定量的評価 ASRによるコンクリートの劣化,膨張によるせん断耐力の低下現象を把握するための実験計画を作成した.
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