研究概要 |
地震による地盤の液状化による構造物の被害を防止または低減することは重要であり、液状化対策を進めるためにはコストを大幅に低減した新しい対策技術が必要である。空気の注入で地盤を不飽和化することによる液状化対策法がその候補として考えられるが、その実用化のための要素技術として、 (a)地盤を土質や土被り圧、地下水位などの条件に応じて効率的に不飽和化する技術 (b)施工管理のための地盤飽和度を簡易に計測する技術 (c)不飽和化した地盤の液状化強度の評価法 が必要である。平成18年度は、模型地盤への空気注入実験、不飽和砂の液状化試験および遠心模型実験を行った。主な成果は以下に述べるとおりである。 (1)幅1.6m、高さ1mでTDR土壌水分計を取り付けた気泡挙動観測土層を作製し、模型地盤内に注入した際の空気の挙動、注入中の飽和度分布及び残留飽和度分布を観察した。また、50gの遠心場においても地盤中への空気の注入実験を行った.その結果,地盤中の空気の分布形状が土の保水分保持特性と気泡の大きさ(あるいは土質),注入深度によって大聞く変化することが明らかとなった。 (2)これらの現象を多孔体内の気液2相流解析によってシミュレーションすることを試みた。 (3)地盤の不飽和化が構造物被害の低減に及ぼす効果を調べるため、遠心場において飽和地盤から排水(水位低下)した後に復水して作成した不飽和地盤の加振実験を行った結果、加振中に発生する過剰間隙水圧が低下し,飽和化低下の効果が確認された。
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