研究概要 |
本年度は,エスチュアリーワークショップ(河口研究集会)を8月22日-24日ベトナムのハノイで開催し,そこで本課題による研究成果の発表と研究打ち合わせを行なった. 真野は,河口に波浪,河川流,潮汐が作用する場合の地形平衡開口幅を陽形式で表現する理論解を求めた.また,河口に堆砂する沿岸漂砂を制御する人工構造物の効果について,ヘッドランドを取り上げ検討した. 田中は七北田川において,画像記録装置を河口部に設置し河口砂州の変化を定点観測することで河口幅の変動を高頻度で捉えた.また,河口幅の実測値と各種外力からモデルの係数を決定した.河口砂州の形状が,モデルで仮定した矩形のものと近い場合には観測値と近い値を再現できた.しかし,冬季に河口砂州の先端部が上流側に押し込まれる形状の場合は再現精度が低い. 佐々木は,過去の岩木川河口の地形変動特性を明らかにした.1918年から7年の間に当時の内務省岩木川改修事務所が観測・作成した河口地形図を入手し、この地形図を整理、解析し、当時の河口地形変動の特徴を明らかにし、河口地形変動の予測を試み、河口地形変形、特に、河口の移動距離・位置を精度良く予測できることを明らかにした。 伊福はラジコンボート,ADPおよびRTK-GPS等で構成される流れと海底・河床地形を同時計測する高効率で高精度なシステムを開発し,愛媛県肱川河口に形成されている砂州周辺の流れと地形の計測を行い,上げ潮時・下げ潮時とも砂州前面に存在する時計回りの循環流と冬期季節風時の波浪による流れが砂州の形成要因であることを明らかにした. 南は河口付近の海岸に設置された離岸群の撤去に伴う汀線測量結果を用いて汀線変化量を算出し、またエネルギー平衡方程式による構造物周辺の波高と移動限界水深を考慮して波浪場の変化量との相関を求めた。その結果、波高変化率との汀線変化には相関があった。また、構造物撤去にともなう堤長さと開口比によって2種類に分類される事が示された。今後は、波向変化を取り入れる事で、さらに相関が高くなる。
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