研究概要 |
真野は,ヘッドランドの土砂輸送制御効果を調べた.仙台南部海岸に建設が進められているヘッドランド群の周辺での深浅測量を解析し,入射波との応答を調べた.この結果,南部海岸では輸送能を示す,沿岸漂砂量係数が周辺の海岸の10%程度に落ちており,海岸線近くの砂浜が消失していること,構造物が短く土砂のバイパスがあることなどが主要因であることを明らかにした. 田中は,wave set-upの発現特性には河川規模に応じた依存性を調べた.2006年10月に太平洋沿岸域に来襲した低気圧の際に,規模の異なる8河川で見られたwave set-upを定量的に評価した.その結果,河川の規模に応じてその発現に相違が見られた.wave set-up高さと沖波波高との間の比例定数がほぼ河口水深に反比例することを示すことが出来た. 佐々木は,岩木川河口の古地形図を基に河口の地形変動量と河口閉塞の関係を調べ、(1)冬季に多く発生している河口閉塞は北北西からの季節風による高波浪によることを明らかにした。また、河口における順流および逆流の流速計算値は実測値と良い一致を示し、河口の流動を支配する河川流量は岩木川の流量であることを明らかにした。 伊福は,昨年度に開発した海底・河床地形を同時計測する高効率で高精度なシステムを用い,数多くの島嶼が存在し,海峡部に塩釜を有する極めて複雑な地形である備讃瀬戸航路において広域移動潮流観測を実施し,潮汐の残差流と三つ子砂嘴への土砂移動,サンドウェーブの収斂および土砂の移動方向との間には強い関連があることが明らかにした. 南は,河口付近に設置される人工リーフまたは離岸堤の設置に伴う汀線変化を予測するための波浪場の計算を山形県、宮城県,石川県の海岸に適用した。波浪場にはエネルギー平衡方程式と強非線形の拡張型Boussinesq方程式を用い大まかな堆積と侵食域を再現した。
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