平成18年度に以下の研究項目を実施した。 1.複雑地形における積雪深計測誤差の把握(陸・秋山・宮下) 2. データの解析と積雪深の精度評価(陸・宮下・秋山) 3. 積雪の多層圧密モデルの構築(熊倉) 4. 圧密モデルを組み込んだ分布型融雪流出モデルの構築(陸・熊倉) 5. 航空機計測積雪深データによるモデル積雪深の同化に関する研究(熊倉) 本研究では、緩やかな丘陵地である越後丘陵公園のデータを用いて、積雪深測定データから、著しい誤差の特定を行い、それらのデータと現地調査から得られる地形や植生データを併用して誤差の原因を限定していく。具体的には植生の分布と地形特性の関連性を考え、誤差の発生するエリアを検討し、誤差の発生しやすい個所の特性を分析した。急峻な山地地形の流域として利根川流域上流矢木沢流域のレーザー計測のデータを国土交通省から提供してもらい、先行解析を行った。また、対象流域については無雪期と積雪期のレーザー計測データを朝日航洋(株)の協力を得て取得し、次年度に分析を行い、解析を進めている。 また、積雪の圧密モデルを開発し、その検証を積雪プロファイルとの比較で検証した。さらに積雪圧密モデルを組み込んだ分布型融雪流出モデルを作成した。作成したモデルによって、矢木沢ダム流域を対象にパラメータの選定を行い、地熱による融雪量を考慮した流出解析を行った結果、対象流域において水資源量に関する諸量を推定し、流域全体の積雪深分布を推定することができた。。モデルによる計算積雪深と航空レーザー計測による計測積雪深を比較し、モデル内での降雪量補正式に改良の余地があることがわかったが、全体的な水収支はよく表現できている。今年度はこのモデルを対象流域に適用できるよう構築した。
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