1.夏場の都市部はヒートアイランド現象により上昇風速が発生することでゲリラ豪雨発生を助長させていると多くの科学者が指摘している。そのためヒートアイランド現象を緩和させる河川の周辺で微気象観測を行った。今年度に実施した観測は4項目である。1)河川沿いが涼しいという過程のもとで都市中小河川である目黒川での微気象観測、2)ビオトープ化された川幅1.5〜2.5mの小川周辺での微気象観測、3)地上部から河川水面まで7〜9mある掘り込み河道内気温の計測、4)打ち水効果計測を行った。得られた知見を以下に示す。 (1)目黒川の河川水面と橋梁上の気温差は午前8時で2.5〜3℃であるが最高気温を示す午後1〜2時で4.5〜6℃ある。 (2)河川横断方向の気温分布をみたときに最も冷源効果があると考えられる川幅が広い場所が必ずしも気温が一番低い場所でないところもある。 (3)日射量が高いほど河川の冷源効果が引き出される。 (4)河川とその右岸にある山手通りが再接近する地点からその付近の区間において河川沿いと山手通りの気温差は1℃以内である。それに対して山手通りのそれ以外の区間では河川沿いと山手通りの気温差は2℃以上ある。 (5)ビオトープ化された河川周辺の気温をみると水面付近の気温は周辺より約1℃低いが、河川から5m程度はなれると河川の周辺大気の冷却効果はなくなる。 2.過去4年間行った河川周辺の微気象観測から河川(水面)付近は周辺より気温が1〜3℃低いことがわかった。また関東地方では日中海陸風が卓越する時間帯に河川を遡上する風が確認されている。そのため河川遡上風が吹いているときに河川上の冷気がどのように周囲に拡散しているかみるためにシミュレーションを行った。その結果から河川周辺の熱環境は風下側が河川に近い場所ほど気温が低い現象がおきていると考えられる。
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