研究課題/領域番号 |
17360241
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
稲村 肇 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (50168415)
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研究分担者 |
森杉 壽芳 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (80026161)
赤松 隆 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (90262964)
石黒 一彦 神戸大学, 海事科学部, 講師 (60282034)
加河 茂美 九州大学, 大学院・経済学研究院, 助教授 (20353534)
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キーワード | 日中貿易 / 京都議定書 / 環境効率性 / 産業連関 / 最適化問題 / 貿易障害 |
研究概要 |
平成18年度の研究では、自由貿易構造下における環境制約付き国際間産業連関型最適化問題を解き、日本から中国への個別の技術移転が進んだときの日本と中国の達成可能な最終消費額、貿易利得、国際環境効率性を分析した。また、日中間の技術距離の動き、個別貿易財の関税率の動きによる影響についても定量的に分析した。本研究の結果、日本から中国への輸送機械部門の技術移転によって、国際環境効率性(日中両国の環境効率性)が移転前の5.53(千ドル/トン-C)から5.99(千ドル/トン-C)へ上昇する一方て、日本から中国への化学製品の技術移転に代表されるように、中国サイドの技術向上による汚染減少効果よりも経済規模拡大による汚染増加効果の方か高いため、結果的に国際環境効率を低めるような技術移転部門が存在することが明らかとなった。前述の解析結果は貿易障害が全くない自由貿易を想定したものであった。次に、中国の産業にとって重要な輸入財である金属・金属製品の関税率(貿易財の競争価格に占める関税支払い額の比率)を自由貿易下でのゼロから現状の1995年値に徐々に動かすことによって、その貿易障害が両国の環境効率性に与える影響を調べた。推計の結果、日本製の金属・金属製品の関税障害が日本から中国への金属・金属製品の輸出額を約100万ドル程度減少させる一方て、その低下に伴い余った労働と資本か京都議定書達成下で比較優位を示す日本のクリーンなサービス業に流れるだけてなく、他の産業間の資源分配効率性にまで大きく影響を及ぼし、結果的に日本の達成可能な最終消費額を約5億ドル程度押し上げる効果があることが分かった。京都議定書達成下、自由貿易下における日本の環境効率性が16.789(10億ドル/100万トン-C)であったのに対して、その関税障害が日本の環境効率性を約0.01%程度押し上げる効果があったことが判明した。
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