研究分担者 |
安藤 朝夫 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (80159524)
林山 泰久 東北大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (20260531)
河野 達仁 東北大学, 大学院・工学研究科, 講師 (00344713)
織田澤 利守 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 助手 (30374987)
|
研究概要 |
本研究は,不確実性下,移住が可能な多地域経済下,動学下の世界に注目し,便益の定義,計測可能性,効用水準との整合性,補償基準との整合性に関する見解を整理することを目的としている.本年度の成果は以下のとおりである. 1.不確実性下における便益の定義と補償基準の関係分析:従来,不確実性下の便益の定義として推奨されているオプション価格は,補償基準とは整合性を持たないことを示した.また,確実性等価とフェアーベット価格による便益の定義が補償基準と必要十分な関係にあることを示した. 2.静的多地域経済下の便益計測式の提案:小開放都市(small open)の仮定を導入しないで地価の変化で地方公共財の便益を計測する公式を提案した.また,SCGEにおける運輸部門の取り扱いを明示的に経済活動として定式化し,交通施設整備の便益計測式を改善した. 3.動学モデル分析:地球温暖化予測・評価のための経済成長モデルにカタストロフィーを導入したときの成長経路の性質を明らかにした.また,環境資源経済学における最適成長論を展望した.さらに,内生的経済成長モデルにおいて,社会資本に関する競合性と減耗が存在する下での経済成長経路について分析し,均整成長状態へ到達し得ない初期状態領域が存在することを示した.社会資本への新規および維持補修投資の便益を,毎期の効用を動学経路に沿って積分した値のプロジェクト前後での差分によって定義することにより,社会資本整備政策のマクロ経済的効果を知ることができることを示した. 4.動的不確実性下における公共事業評価:事業の中止オプションならびに休止オプションを明示的に考慮に入れた公共事業の事前・再評価モデルを開発するとともに,これらのオプションの経済価値を計測する方法論を提案した.
|