研究概要 |
昨年度に引き続き,ドライバー間の相互作用を考慮できる室内実験環境を整備し,多人数同時参加型のシミュレーション実験を行った.実験では,パソコン上の仮想空間で10D3経路の単純なネットワークを複数の被験者に同時に繰り返し経路選択してもらい,1)情報の有無,2)情報の種類,3)情報の利用率,という3つの要因を変化させて,経路選択行動の時系列データを取得し,得られたデータから経路選択モデルの推定を行った. 情報が提供されない被験者の経路選択モデルは,情報が提供される被験者とは異なり,経験時間最小値の最大差で有意な値を示した.このことから,被験者間の相互作用を明示的に考慮した実験環境においても,既往研究で示されているような,「情報が提供されない被験者は提供される被験者に比べて,自身の走行経験に依存して経路選択を行う傾向が強い」ことが確認された.また,予測情報を提供される被験者の経路選択モデルが,与えられた情報値で有意な値を示したのに対し,統計的情報を提供される被験者のそれでは,有意な値を示していないことから,被験者は予測情報には依存して経路選択を行うが統計的情報にはあまり依存しない,すなわち情報の種類(質)により,情報の参照程度が異なることが示唆された.
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