研究課題/領域番号 |
17360251
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
太田 幸雄 北海道大学, 大学院工学研究科, 教授 (00100058)
|
研究分担者 |
村尾 直人 北海道大学, 大学院工学研究科, 助教授 (00190869)
山形 定 北海道大学, 大学院工学研究科, 助手 (80220242)
|
キーワード | 大気エアロゾル / 人工衛星リモートセンシング / 陸域のエアロゾル分布 / 紫外領域 / 散乱係数 / 吸収係数 / 粒径分布 / ミー散乱理論計算 |
研究概要 |
大気エアロゾルは太陽放射を散乱吸収することにより、地球温暖化を抑制すると言われ、その定量的な把握が課題となっている。このエアロゾルの広域分布を人工衛星のリモートセンシングにより求めようとする場合、これまで、陸地域のエアロゾル分布については可視領域では反射率が大きいために算出が不可能であった。しかし、近紫外〜紫外領域では陸地面の反射率が小さくなるために、衛星リモートセンシングによる算出が可能である。今年度は、まず紫外領域でのエアロゾルの吸収係数と散乱係数の測定法を確立することを目指して観測・計算を行い、以下の成果を得た。(1)大気エアロゾルを石英フィルターに捕集した。この試料フィルターについて、積分球付き分光光度計を用いて、紫外および可視域にわたる吸収係数を実測した。(2)可視領域での散乱係数について積分型ネフェロメータにより測定し、また可視領域での吸収係数について吸収光度計(PSAP)により測定した。(3)大気エアロゾルの重量および化学成分(黒色純炭素成分、硫酸成分等)を測定した。大気エアロゾルを透明なエアロプソルと不透明なエアロゾルとに2分し、透明なエアロゾルは硫酸と同じ複素屈折率を持ち、不透明なエアロゾルは黒色純炭素と同じ複素屈折率をもつものと仮定した。(4)エアロゾルの粒径分布をパーティクル・カウンタにより実測した。(5)測定した粒径分布および透明なエアロゾルと不透明(黒色炭素)エアロゾルの濃度、複素屈折率を基に、ミー散乱理論により紫外および可視領域での散乱係数、吸収係数を算出した。(6)上記のPSAPで実測した吸収係数と積分球で測定した吸収係数は良く一致しており、その結果からみて積分球により得られる紫外領域での吸収係数も妥当なものと思われる。(7)ミー散乱理論により計算された散乱係数は、可視領域の低濃度領域において、上記(2)で実測しい値よりも大きかった。検討の結果、これは積分型フネフェロメータの無粒子条件(濃度0)でのキャリブレーションに問題のあることがわかり、19年度にさらに再測定を行う予定である。
|