研究概要 |
本年度は試料の採取、および、主として微生物群集構造を把握するためのPCR用プライマーの選択を行った。試料採取は東京湾内および有明海について、それぞれ1ヶ月から2ヶ月に1回採取した。当初東京湾を主たる対象とする予定であったが、筑後川から有明海にかけての地勢は本研究で対象としている底質の輸送を調べるために好適であるため、有明海も検討することとした。また、サンプルの採取にあわせて現地の窒素やリンを含む水質に関する情報を得た。PCR用プライマーとしては、a)全細菌をとらえるユニバーサルなプライマー、b)メタン生成細菌を含む古細菌をとらえるプライマー、c)硝化細菌をとらえるプライマー、d)嫌気性脱窒細菌(Annamox細菌)をとらえるプライマー、e)硫酸還元細菌を捉えるプライマー、の5つを検討している。それらの狙いは、大きくは、細菌群集構造の全体を捉えるようなプライマー(a),b),e))、および、増殖速度が遅く、かつ海洋で増殖するものと淡水で増殖するものの区別をしやすいような細菌群を捉えると考えられるプライマー(b),c),d))の二通りに分かれる。それぞれのプライマーで捉えられる細菌群のうち、各サンプリング地点の特徴を表しうるものを抽出するために、まず、いくつかの試料についてクローニングによりそれぞれのプライマーによるPCR増幅産物の塩基配列を得ることを試みている。古細菌に対するプライマーを除き、PCR増幅産物が得られ、かつ、シークエンシングまで行った。
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