研究概要 |
本年度は有明海筑後川河口域の7地点から,底質試料,および,底質直上水を1地点につき経的に5試料を同一日に採取し,それらの細菌群集構造を解析した。まず,直上水試料中の細菌群構造を解析するために,DNAの抽出法を検討した。直上水中のDNA濃度は数十pg/μLのオーダーでると推定され,濃度が低すぎるために底質からのDNA抽出法をそのまま用いることはできなかった超音波分散し,希釈してPCR法に供したところ,ほとんどの試料からPCR産物を得ることができたまた,遠心分離により集めた懸濁物質についても,超音波分散法によりDNAを得てPCR法を行なうとができた。そこで,超音波分散法によりDNAを抽出し,PCR法に供することとした。短時間での中の細菌群集の変化を追跡するため,全細菌の16SrRNA遺伝子を対象としてPCR-T-RFLP法を適用た。懸濁物質試料からのPCR産物については,同一地点でも時間帯によって変動するフラグメンがいくつか見られ,その挙動は潮の流れに関連があると見られた。懸濁物質を含む海水全体を分,した場合は地点・時間によらずフラグメントパターンは似かよっていたが,潮流との関連と反映て変動すると思われるフラグメントも存在した。 当初予定していた底質の水質浄化能力との関係性やモデリングを行なうことはできなかったが細菌群集構造をトレーサーとして,海水や底質の流動を調べる手法を開発することができた。
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