研究概要 |
MF膜処理は,設置面積が小さく,バクテリア等の懸濁物がほぼ確実に除去できる優れた特徴を有するが,自然由来有機物(NOM)や臭気物質のような溶存性物質に対しての効果が低いという弱点も有する.そこで,溶存性物質の除去率を高めるために凝集処理や活性炭処理を前処理とした複合MF膜処理が提案されている.ところが,凝集により微粒子を膜孔径以上の大きさにするために要する時間は極めて短い反面,活性炭吸着に要する時間が長いため,MF膜処理の利点である設置面積の省スペース性と相容れない.研究では,粒径1μm以下のサブミクロンサイズまで超微粉化した活性炭により吸着速度を飛躍的に増加させ,高速度運転が可能な吸着・MF膜複合処理法を検討した. サブミクロンサイズまで超微粒度化した活性炭をMF膜の前処理に用いることによって,NOM除去に必要な添加濃度と接触時間の大幅な削減が可能であることを示した.活性炭接触時間としては2.4秒で十分であり,さらに添加量も従来の粉末活性炭に比べて75%削減できることがわかった.この理由は,超微粒度化は粒子外表面の比表面積の増加みならず活性炭内部のメソ孔の増加による活性炭自体の吸着容量と活性炭粒子内の細孔拡散係数をも増加する効果があることを見出した.さらに,臭気物質のジェオスミンとその生成原因藻類であるアナベナの除去について検討しとところ,サブミクロン粒度まで微小化した微粉炭は,少添加量,短時間で吸着が進行し,市販粉末活性炭に比べてジェオスミン除去性が格段に優れていることが分かった.膜の前処理としての微粉炭の添加は,薬品洗浄までの長期的膜問間圧上昇のみならず逆洗浄までの短期的膜間差圧上昇の抑制にも効果的なことが分かった.本研究より,分離膜への流入途中に超微粉化活性炭を添加するだけで処理水質が向上することが示唆された.
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