研究課題
対流圏物質輸送モデル(CTM)は、様々な物理・化学過程を適切に取り込んで複雑になるとともに、その再現性が著しく向上してきた。最近注目を集めている4次元変分法(アドジョイント法;以下4DVAR)は、空間的・時間的変動を有する観測データという物理・化学法則にもとづく世界を、我々が持っている利用可能な最大限の知識を用いて、出来るだけ高精度で定量的・完全に記述するポテンシャルを有し、観測とCTMを統合化する手法である。本研究では、4DVARをCTMに活用し、1)4DVARによりモデルと観測データの最適な統合化を図ること、2)地上観測データ、ミー散乱ライダー観測データ、衛星観測データなどの時間空間分解能の異なるデータを同一のモデルを用いて4DVARのフレリムワークの確立、3)自然起源の発生源である黄砂(ダスト)や焼畑起源の大気成分の起源の推定等、を行うことを目的とした。平成19年度は最終年度にあたり、昨年度までに完成させた。完全に並列計算モードで実行可能な土壌性ダストの4DVARシステムを用いて、2007年3月から5月に掛けてアジアの広範囲で観測された3つのダストエピソードに着目して、モデル解析を行った。データ同化には国立環境研究所の展開するレーザーレーダー観測データを用いて、ダストの発生量の最適化を行い、4DVARによりダストモデルの精度が大きく向上することを示した。また、データ同化に用いない独立した観測データとして、NASA/CALIPSO衛星のライダー観測結果を用いて、モデルの妥当性の検証を行い、それらの成果を4編の英文論文と、1編の和文論文として掲載が決まっている。
すべて 2008 2007
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (1件)
大気環境学会誌 (印刷中)
Geophys.Res.Lett. 35
ページ: doi:10.1029/2007GL032329
Atmos.Chem.Phys.Discuss. (in press)
Geophys.Res.Lett. 34-8
ページ: L08806,doi:10.1029/2006GL028551
Atmos.Chem.Phys.Discuss. 7
ページ: 15955-15987