研究分担者 |
飛田 潤 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 助教授 (90217521)
小島 宏章 名古屋大学, 大学院環境学研究科, 助手 (40402557)
飯場 正紀 国土交通省, 国土技術政策総合研究所, 建築新技術研究官 (40344006)
宮腰 淳一 清水建設, 技術研究所, 副主任研究員
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研究概要 |
近い将来に発生が危惧されている巨大地震は,超高層建物が多く立地する大規模な堆積平野に長周期成分を多く含む揺れを長時間に渡ってもたらすと予測されており,既存の低減衰構造物の安全性が懸念されている。この様な揺れは,設計時には十分に考慮されていなかったことから,超高層建物の地震時応答特性を早急に把握する必要がある。また,長周期床応答の特性と危険性を,超高層建物の所有者や居住者に認識してもらうための体感震動教材を作成することで,防災意識啓発を行うと共に超高層建物の制震改修の促進を図る。 本年度は,名古屋駅前に建設中の250m級と150m級の超高層建物2棟を対象として,建設時強震観測システムを構築し,建設工事の進捗に合わせて観測点位置を上階に移設しながら強震観測を実施している。これまでに,2005/8/16に宮城県沖で発生した大規模地震(M6.8)を含む数波の地震記録が得られている。また,定期的に常時微動計測を実施しており,ほぼ同一の地盤・基礎条件下での建物階数と建物周期・減衰特性の関係を実証的に明らかにするためのデータを蓄積しつつある。2棟の建物は躯体工事がほぼ終了し,内装材などの2次部材や設備機器が設置されつつある。これに加え今後,制震装置が付加される予定であるため,強震観測と常時微動計測を次年度も継続的に行うと共に,制震装置の有無による応答特性の差異について分析する予定である。また,模擬可能な地震応答解析モデルを構築することにより,耐震安全性と制震装置の有用性を検証する予定である。 長周期床応答体感用振動台については,パルスモータ4台を使用して最大加速度100kine,片振幅3mの揺れを実現する振動台を開発し終えている。次年度には,超高層建物内に勤務する居住者を対象に揺れの体感実験を行い,超高層建物内における人間行動についての基礎資料を作成する予定である。
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