研究課題/領域番号 |
17360269
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
福和 伸夫 名古屋大学, 大学院環境学研究科, 教授 (20238520)
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研究分担者 |
飛田 潤 名古屋大学, 大学院環境学研究科, 助教授 (90217521)
小島 宏章 名古屋大学, 大学院環境学研究科, 助手 (40402557)
飯場 正紀 独立行政法人建築研究所, 上席研究員 (40344006)
宮腰 淳一 清水建設, 技術研究所, 副主任研究員 (00393570)
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キーワード | 超高層建物 / 長周期地震動 / 堆積平野 / 減衰定数 / 強震観測 / 常時微動 / 振動台 / 床応答 |
研究概要 |
東海・東南海地震など海溝型巨大地震では、長周期が卓越した地震動が長時間にわたり継続し、超高層建物などの長周期低減衰建物は、共振して著しく大きい応答を生じる可能性がある。本研究では、建設中の建物における振動観測法を提示することで、効率的な実測による超高層建物の振動特性評価を行う。また強震時の超高層建物の長周期大振幅の床応答を再現できる自走式振動台の開発を行い、応答体験による防災対策促進を図る。 今年度は昨年度に続き、名古屋に立地する建設中の超高層建物3棟について、建設中の強震観測・常時微動計測を連続して行った。また1棟についてはAMDを用いた強制振動実験に園しても記録を収録した。さらに新たな1棟について、従来の経験を生かしつつ建設時連続振動実測を開始し、すでにいくつかの地震記録が得られている。これらから、建物高さが高くなるほど固有周期が伸びること、建物によりその伸び方に相違が見られること、減衰定数は高さ依存性が明確でないこと、などの結果が得られている。また振動実験結果から振幅依存性も検討している。 長周期床応答体感用振動台は、10Hz以下の振動数で最大変位±3m、最大速度500cm/s、最大加速度2Gの性能を有し、任意の波形を高い精度で再現できることを検証した。これを用いて超高層建物の上階の応答を再現したところ、予想しなかった印象となり、建物使用者や所有者のみならず構造設計者に対しても、超高層建物の応答や室内安全性に関する啓発効果が極めて高いことが確認された。また、砂を入れた大型水槽を載せた「液状化体験」、任意の地点での地震応答シミュレータと組み合わせた「個人向け振動体験」など様々な利用を試みた。 以上の成果は、超高層建物の地震時安全性向上に関して、研究面・普及啓発面のいずれからも大きな意味を持つものであり、本研究の所期の目的を達するとともに、将来にむけた課題も整理できたと考えられる。
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