研究課題/領域番号 |
17360271
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
藤谷 秀雄 神戸大学, 工学部, 助教授 (10344011)
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研究分担者 |
福住 忠裕 神戸大学, 工学部, 助教授 (40031140)
崔 宰赫 神戸大学, 工学部, 招聘外国人研究者 (30397799)
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キーワード | 耐震補強 / 可動接続 / 履歴型ダンパー / 粘性型ダンパー |
研究概要 |
制振ダンパーとして、履歴型ダンパーと粘性型ダンパーを研究対象とした。 まず、履歴型ダンパーとしては低降伏点鋼(SLY120)と一般構造用鋼材(SS400)用いた一方向パネル型ダンパーを制作した。そして、その履歴特性を調べるため、自己釣り合い型の載荷装置に水平移動装置を装着し、単体載荷実験を行い、ダンパーのエネルギ散逸特性を実証的に調べた。単調載荷実験結果から、低降伏点鋼材を用いた場合、パネル部に座屈が生じた後も十分塑性変形能力を発揮し、制振ダンパーとしての可能性が確認できた。一方、繰返載荷実験からは歪硬化による耐力上昇が生じることと、パネル部の幅厚比によって座屈モードや破断の様子が異なることを確認できた。そして、SS400材を用いた場合は累積せん断変形角が、SLY120材を用いた場合に比べ極端に小さく、履歴型ダンパーとしては不向きであることが分かった。また、幅厚比によってその精度は異なるが、履歴型ダンパーの復元力特性をスケルトン・シフトモデルの丸み係数15とシフト係数0.9でモデル化することで十分実用性ある履歴モデルが得られた。 さらに、2つの単層構造物を履歴型ダンパーで連結した連結制振構造物についての地震応答解析を行った結果、連結制振構造物の制振性能を最も向上させる履歴型ダンパーの特性(連結剛性倍率α、降伏耐力比β)の範囲は制振対象とする単層構造物(既存RC造)の固有周期とともに変化するため、各場合に応じて制振性能曲線を用いて最適な範囲を評価する必要があることがわかった。 粘性型ダンパーについては、オイルダンパーと粘弾性ダンパーを適用し、それぞれの単体特性試験を実施した。オイルダンパーについては、加振周波数が高くなると設計どおりの特性が得られにくくなることもあった。また粘弾性ダンパーは、温度依存性および速度依存性が高いので、温度0℃、20℃、40℃で、最大速度40cm/sまで実験を行い、温度毎に六要素モデルにモデル化した。 それぞれの実験から得られたダンパー特性を基に、ダンパー連結された建物モデルの地震応答解析を行った結果、新設S造の固有周期が短い(ブレースの設置などによって剛性が高い)場合は、新設S造の質量を既存RC造の0.25倍以上となるようにし、粘性減衰係数C_d=5〜20kNs/cm程度のオイルダンパーを設置すれば既存RC造の変位を低減できることが明らかになった。
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