研究分担者 |
中東 潤 福山大学, 工学部, 助手 (40341200)
井上 達雄 福山大学, 工学部, 教授 (10025950)
宮内 克之 福山大学, 工学部, 教授 (80368779)
上野谷 実 福山大学, 工学部, 教授 (40034376)
寺井 雅和 福山大学, 工学部, 講師 (90320035)
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研究概要 |
大地震に対する建築・土木構造物の耐震性能向上を図る目的で,地震エネルギーが効果的に吸収,散逸される先端材料の高延性鋼材を組み込んだ新構造システムを考察して,構造物の被害を最小限に抑え,その機能性を確保する先端的な耐震設計法を開発する。 材料開発:耐震性新材料の金属結晶系は脆性破壊を起こさない面心立方格子とし、成分は本学において既に開発を進めている15Ni-15Cr鋼からさらに成分調整を行い、実用化のための大型大気溶解製造試験を実施した。その結果、適正候補材として面心立方格子(FCC)を有するオーステナイト(γ)系16Ni-14Cr鋼を選定、製造は溶解→熱間圧延→焼鈍(1433Kの空冷)の工程によって目標とする力学的性質を満足する新鋼材が完成した。 鋼構造:水平力による交番せん断力を受けるハイブリット型箱形断面柱の載荷実験を行った。その結果、せん断リンクのウェブに耐震性新鋼材FLSを用いた柱は普通鋼SMを用いた場合より、降伏が低い荷重で始まり、最大強度はひずみ硬化により普通鋼SMの柱と同等であった。エネルギー吸収性能は普通鋼SMの柱よりかなり優れていた。故に、FLSを用いたハイブリット型箱形断面柱はラーメンの耐震性能を大きく向上させることが確認された。 鉄筋コンクリート構造:耐震性新鋼材を主筋として組み込んだ、断面寸法150mm×200mmと小型の鉄筋コンクリート曲げ部材の実験を行い,その耐震性能を評価するとともに,簡単な断面解析を行い,実験結果との比較・検討も行った。その結果,耐震性新鋼材を主筋に用いると,鉄筋コンクリート部材の曲げ塑性ヒンジにおいて,等価粘性減衰が大きく,耐力劣化がない紡錘型の履歴性状が示された。引き続き、中型断面の鉄筋コンクリート柱部材(断面寸法300mm角)を製作し、先に行った小型試験体との比較や、主筋に用いた鋼材種類による部材応答の違いについても検討することとしている。
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