研究課題/領域番号 |
17360280
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
繪内 正道 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00001991)
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研究分担者 |
羽山 広文 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (80301935)
森 太郎 釧路工業高等専門学校, 助教授 (70312387)
長野 克則 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (80208032)
濱田 靖弘 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (40280846)
林 基哉 宮城学院女子大学, 教授 (40320600)
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キーワード | 冷却流水面 / ハイブリッド換気 / 屋内公開空地 / PIV / CFD |
研究概要 |
大規模な複合建物から小規模の事務所建物まで、主空間の前室あるいは動線の整理等を目的として吹き抜け空間やホールを持つ事例が増加している。本研究では、それらの空間を屋内公開空地と呼称しているが、アトリウムとして計画され、熱的な環境改善よりも、安らぎや憩を目的として水辺が持ち込まれることが多い。外部条件に影響されやすく、空間規模も大きいため、温度分布ばかりでなく、あらゆる物理量は垂直、水平方向に著しい分布状況を招来させている。従って、一般の室内空間の様に、空間全域にわたって空気を攪拌する空気調和計画は困難であり、温度積層を生かした居住域空調等の手段が講じられる事が多い。しかし、屋内公開空地は憩や出会いのための『溜』に加え、『移動』のための空間でもあるため、空調の条件を大幅に緩和し、半屋外空間と考えて熱・空気環境計画を行うことは省エネルギーの近道になる。 初年度では、(1)CFDと実験結果の照合、(2)PIVによる流速分布の把握を行った。 (1)CFDと実験結果の照合 実験室に、高さ1.7mの流下水面(滝)、奥行き1.6mの水平流水面(池)を製作し、周囲の温度分布、気流分布を測定した。次に乱流モデルは、標準k-ε二方程式モデル(垂直方向の運動方程式とεの輸送方程式に水蒸気の影響を含めている)を用い、離散化手法は有限体積法を用い、解法はSIMPLE法を用い、差分スキームは中心差分と風上差分のハイブリッド法を採用した。3ケースの数値解析を行った。ケース1は冷却流水面における蒸発・凝縮潜熱を第一CVのエネルギー式に代入する基本計算、ケース2は冷却流水面における蒸発・凝縮潜熱を組み込まない条件、ケース3は一般化対数則の粗度パラメーターを変数とした場合であるが、実験と数値計算の比較検討より、気流分の相違は、潜熱や表面粗度以外に原因があり、自由表面境界条件(他動境界+表面近傍乱流構造)の組込が必要であることが判明した。 (2)PIVによる流速分布の把握 900mm×1800mm×90mm実験用簡易風洞を製作し、風洞に100m^3/hの空気を送風し、風路に油粒子を混入させ、レーザーシートで浮かび上がった映像を統計処理して、2次元的な速度分布を測定した。床面10mm以下の部分では、床面付近におけるせん断力により複雑な渦が生成し、風上から風下へ移動している状況を観察できた。今後は、空気-流水面境界の部分を測定し、流水面近傍の流れを精度良く再現できる境界条件を検討する。
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