研究課題
基盤研究(B)
人体・生物が持つ生理機能や自然智を建築に模擬応用することにより、無駄なく、合理的に環境制御と環境共生を行い得る「バイオミメティック(生物模擬)建築」の実現に向け、有望と考えられる機能や構成要素について、その模擬性、制御性、システム等と、快適感の形成に重要な「ヒトの感覚一行動」について研究を進め、「バイオミメティック建築」の基本構成と性能を確認した。主な研究成果を機能別に分けると以下の通りである。(1)「鳥肌・起毛機能」:形状記憶素材を用いて、温度変化に依存して作動する建築外皮部材のシステム化を図った。(2)「衣替え建築」:1)赤外特性が温度によって変化する二酸化バナジウム系の薄膜材料を建築外皮に用いた場合の夏季と冬季の日射吸収・透過性能の最適化法を提案した。2)二酸化バナジウム薄膜系調光窓の材料改質による日射透過制御性能の向上を図った。3)表面の熱特性が季節により異なる外壁試験体を用いて、実験と解析により夏季・冬季の熱性能を求め、衣替えによる熱効果が大きいことを示した。(3)「植物の導管機能」:浸透現象を生じさせる膜や溶質に関する基本性能や揚水機能を実験的に確認し、膜と粒子径、浸透モジュールの構成等に関する知見を得た。(4)「発汗機能」:不燃性を強化した汗かき屋根を構築し、熱性能と蒸発性能を実験的に確認した。またその熱的効果と最適感温点を予測し評価した。(5)「アリヅカ機能」:「アリ塚」の環境調節機構を模擬した「アリヅカ建築」を提案し、その環境性能を予測評価した。(6)快適感の形成:蒸暑な環境条件の下で、室内環境において長波長放射が果たす役割、風速の変動が快適感に果たす役割、さらに高湿度とヒトの感覚-行動の関係等に着目し、冷放射エクセルギーの効果が夏の温熱快適性に大きな影響を持つこと、また後得的温冷感を培うことの重要性について示した。
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