研究課題
本研究の主たる目的は、前回調査より10数年の時間を経て再び変化の兆しを見せはじめている北海道農村住宅の新しい動向をとらえ、変化の方向とその意味を明らかにすることにある。その方法として、道央・道東7市町(秩父別、当麻、端野、女満別、別海、帯広市大正、清水)で継続観察している農家を対象に、1.敷地の利用形態に関する補足調査、2.営農形態、営農実績、土地利用等営農実態調査、3.沿道景観の実測調査並びにそれに対する居住者の評価・意識調査、等をおこなった。その結果、以下の5点の新たな知見が得られた。1.農家戸数の減少と耕地面積の拡大、農業機械の急速な発展により、農家1戸当りの営農規模が拡大した(稲作10-12ha、畑作20-30ha、酪農80ha)。2.それに伴い、住宅、納屋・牛舎等の農業施設、屋敷林、庭、菜園、ビニールハウスといった農家敷地の構成要素が増加し、その規模も拡大した。3.これらの構成要素の並び方、すなわち屋敷の空間構成の変容過程は、営農形態ごとに特徴がみられた。稲作では住宅-生活空間と農業施設-農業空間の位置関係は変わらず、一体的な空間構成が保持されているが、畑作では生活空間と農業空間は一体的でありながらも道路との結びつきを強め、酪農では生活空間と農業空間が分離する傾向にある。4.沿道景観については、稲作では建物の数も形態の種類も少なくコンパクトなまとまりがあり、畑作では建物の形態の種類は少ないが数が多く、農業施設の集約型と分散型の2タイプがあり、酪農では建物の数も形態の種類も多く分散型である、という特徴がとらえられた。5.さらに、道路に隣接する空間を生活空間、農業空間、生活空間と農業空間、生活空間の両側に農業空間が挟む空間の4つで大きく分類し、さらに道路に隣接する構成要素の住宅、庭、展業施設、農地、垣根の組合せにより、12とおりの屋敷構えのモデルに分類できることがわかった。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (6件)
日本建築学会・住宅系研究論文報告会論文集 1
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日本建築学会北海道支部研究報告集 79
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2006年度日本建築学会大会(関東)学術講演梗概集E-2分冊・農村計画
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