研究課題
基盤研究(B)
本研究の目的は、前回調査より10数年の時間を経て再び変化の兆しを見せはじめている北海道農村住宅の新しい動向をとらえ、変化の方向とその意味を明らかにすると同時に、安定した農村集落・住宅が有する地球に優しい循環型環境システムの意義に着目し、新たに北海道特有の低密度型集落環境の実態を住宅と集落との関係から明らかにすることにある。その方法として、道央・道東7市町(秩父別、当麻、端野、女満別、別海、帯広市大正、清水)で継続観察している農家を対象に、(1)住宅のプランと住まい方、(2)敷地の利用形態、(3)沿道景観、(4)集落の空間構成とコミュニティ、について実態調査、資料収集調査及びヒアリング調査を実施した。その結果、 (1)二世帯分離型住宅の増加、(2)農作業関連空間の外部化と設備の充実、(3) 納屋・牛舎等の農家敷地の構成要素の増加とその規模の拡大、(4)それに伴う生活空間と農業空間の分離傾向と景観の混乱、(5)グリッドパターンの均質的、抽象的な集落の区画割りに対して個別的、具体的な空間表現としての生活コミュニティや道路、(6)生活コミュニティ(町内会)の空間単位と共同施設(会館)、(7)共同施設の特徴的な敷地構成要素、の7点の知見を得、新たな住宅変容と、屋敷及び集落の空間構成の特徴をとらえた。若夫婦と老夫婦の二世帯同居という農村特有の住生活単位や集落コミュニティの空間単位など、循環型環境システムの維持が見られるが、一方では行き過ぎた家族生活の分離や生活空間と農業空間の分離から一体化への回復、屋敷構成要素の整序による景観整備、生活コミュニティ(町内会)と生産コミュニティ(農事組合)の新たな関係の構築など、今後求められる諸課題もとらえられた。以上より、農村住宅の変容メカニズムと、これからの循環型社会において望まれる農村ライフスタイルと住環境システムのあり方について検証を加え、あるべき農村住宅と農村集落環境像の提案をおこなった。
すべて 2007 2006
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (18件)
Proceedings of AIJ Hokkaido Chapter Architectural Research Meeting No. 79
ページ: 351-356
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日本建築学会北海道支部研究報告集 No.79
日本建築学会・住宅系研究論文報告会論文集 1
ページ: 151-156
Journal of house and living environment, Architectural Institute of Japan No. 1