研究概要 |
本研究では,東アジアを対象に,災害ハザード・リスクに影響する様々な要因を構造的に整理し,都市化の過程とハザード・リスクとの関係,都市に蓄積されるハザード・リスクの構造を明らかにし,アジアの大都市に共通して必要とされるハザード・リスクのマネージメント手法に関して考察を行う.まず,(1)各国のハザードの実態と,社会経済状況,地理地勢的条件の違いとを整理し,国際比較を通して,各国の特異性と各国に共通する普遍性を明らかにした上で,(2)都市化の形態,法律及び制度,防災関連技術,宗教的な背景を含む市民の知識・意識の4つの側面からの分析を通して,(3)災害のハザード・リスクの増大の構造を明らかにすることを目的に研究を進めている. 今年度は,昨年度収集した各国(台湾,中国,日本)の基礎資料の比較・整理を行った.また,テーマの対象を広げ,現在台湾で研究課題となっている集集地震からの復興における問題の構造的理解をすすめた.中国については,集集した基礎資料だけでは読み取れない,行政の防災計画の実態について補完的に情報収集を行った.また,都市化と都市が抱えるハザード・リスクとの関係を分析するためにリモートセンシングデータの活用方法の検討を行った. なお,中国における基礎資料の分析を終えた結果,実態を把握するに至っておらず,さらに詳細な調査の必要性があることが判明したことから,研究計画の微修正を行った.
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