研究概要 |
(1)昨年度までに作成した都市圏メッシュ人ロテータベースを元に,都市圏類型化分析を行った。具体的には各都市圏の人口密度をもとに中心部,郊外部等に区分し,昨年度の総人口による分析とあわせて年齢階層別人口や従業者数を加味した分析を追加的に行い,都市圏の人口構造変化についてより精度の高い類型化分析を行った。それにより,全国的に都市化が進展した70年代後半までの時期には,都市圏の規模に応じて各都市圏の構造変化に一定の方説性が見られるものの,80年代後半以降は各都市圏が様々な経路による発展過程を見せており,さらに90年代以降は各都市圏が時期により発展形態を変化させていることが明らかになった。 (2)都市構造の発展過程が時期によって変化しているという上記類型分析の結果を受けて,当初実施予定であった社会保障,人口問題研究所によるコーホート別人口予測結果や最新の国勢調査結果などをもとにした都市圏構造の将来予測に代えて,翌年度実施予定であった土地利用構造の変化の背景となる都市計画,土地利用計画の事例調査を先行して実施した。都市圏発展経路が時期により変化しているという類型化分析の結果を踏まえると,「還流拡散モデル」の検証には人口移動トレンドを延長するコーホート要因法を基にした分析のみならず,人口構造変化の背景となった社会経済要因の把握が必要となる。そのため先行して国土形成計画や広域地方計画の作成状況/まちづくり三法改正を受けた中心市街地活性化計画,広域土地利用調整等の事例,ヒアリング調査/文献収集と事例調査を行い,国内外の各都市圏において「コンパクトシティモデル」「還流拡散モデル」それぞれの側面を併せ持つ政策が同時並行的に行われている現状を明らかにした。 (3)人口側面以外の分析に向けて,既存の全国都市圏統計データベースの収集作業を行った。
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