研究概要 |
本年度は,最終年度に当たり,これまでの調査で得た看護動線に関して,ARENA(米国Rockwell Software社)を用いてシミュレーションを行った。看護拠点の意義と今後の可能性(建築計画的な/平面計画的な)を探ろうとするものである。 シミュレーションには,2人の看護師業務データ(榊原記念病院調査で収録の日勤時)をモデルとして利用した。看護師の行為内容と担当患者は調査時データのまま固定し,拠点の位置(機能)と拠点数を変動させ,その影響について,動線量と担当エリアでの滞在時間の変化を見た。 拠点の機能設定が,特定の行為のみに対応している場合には,動線短縮に係る効果は少なく,多機能の拠点の場合には,その効果が大きいこと。拠点の数は,看護師の担当エリアに1箇所で充分であり,それ以上数を増やしても効果は上がらないこと。逆に,担当エリアが広がっている場合には,拠点の数を増やしても意味のないこと。等々が明らかになった。必要な機能は,PC・手洗い・廃棄物処理・準備片付けであり,看護材料・薬品などは,別途何らかの方法で拠点への供給方法を検討する必要がある。
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