研究課題/領域番号 |
17360306
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
石田 潤一郎 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (80151372)
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研究分担者 |
竹内 次男 京都工芸繊維大学, 美術工芸資料館, 教授 (30069827)
中川 理 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (60212081)
松隈 洋 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (80324721)
笠原 一人 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 助手 (80303931)
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キーワード | 村野藤吾 / 図面 / 公共建築 / 戦後 / 京都工芸繊維大学 |
研究概要 |
本年度は、まず京都工芸繊維大学美術工芸資料館が所蔵する5万点以上におよぶ村野藤吾の図面・スケッチ類のうち、未整理状態の図面・スケッチ類の整理作業を行った。作品ごとに分類し、整理カードおよびパソコンへのデータ記入を行い、写真撮影をした上で、整理ケースにしまうという作業を行った。また大型スキャナーを購入し、デジタル情報化の作業の準備を進めた。実際の作業は、準備の都合上、次年度からとなる予定である。 また今年度の研究のテーマとして、「村野藤吾と公共建築」を掲げた。対象作品としては、八幡市立図書館、京都会館コンペ案、米子市公会堂、八幡市中央公民館、横浜市庁舎、小倉市民館、尼崎市庁舎、名神高速道路レストハウス、愛知県森林公園センターの10作品を選んだ。それらについて、研究補助者とともに建物の現地調査を行い、図面、スケッチ類を用いて、村野の構想および制作の過程を明らかにした。 その成果は、展覧会を開催し(第7回村野藤吾建築設計図展「村野藤吾と公共建築」、会期:2005年11月27日〜12.月25日、於:京都工芸繊維大学美術工芸資料館)、公表した。新たに製作した模型や多比良敏雄の写真などと合わせて、図面、スケッチ類を展示した。展覧会に合わせて図録を刊行し、本研究の研究代表者および分担者が調査・考察の成果をまとめた。また、同じテーマでシンポジウムを開催し(会期:2005年12月3日、於:京都工芸繊維大学、パネラー:高橋〓一、鈴木博之、石田潤一郎、中川理)、多数の来場者を迎えた。 これらの作業と調査、考察の成果としては、次のようなことが言える。村野は第2次世界大戦後、多くの公共建築を遺しているが、そこには戦前の商業建築における方法と同様の、細部の装飾的なデザインや親しみやすさの演出などが読み取れた。加えて、民衆のためのスタンダードな空間やヨーロッパにおける市庁舎建築の伝統を受け継いだ市民のための空間をデザインしていることなど、村野独自の「公共の形」を見出すことが出来た。また図面・スケッチ類からは、「公共の形」を見出すまでの模索の様子を見て取ることが出来た。
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