研究概要 |
TiAl合金は,次世代の軽量高温材料として注目されている。この材料はα_2Ti_3Al相とγTiAl相からなる層状組織をとる。この材料の層界面を制御し,材料を強化することが,本研究の目的である。そのためには,界面構造を制御する方法論の確立が必要である。本年度は,γ/α_2界面へのmisfit転位の導入を,合金元素添加により制御する方法について検討し,次の成果を得た。 1.Ti-Al-M3元合金について,添加元素Mのα_2およびγ層への分配の割合,格子定数の変化等について調査した。その結果,γ/α_2相間の格子ミスマッチを制御するために添加する元素Mとして,NbとZrを選択した。 2.透過電子顕微鏡観察により,γ層厚が小さい場合には,γ/α_2界面にmisfit転位はなく,γ,α_2両層ともに弾性変形して,γ/α_2界面での結晶格子の整合性を保っている(高い内部応力の状態)ことを明らかにした。結晶格子定数の精密測定から,この状態での内部応力は,GPaのオーダーであることが分かった。 3.γ層厚が臨界値を超えると,界面にmisfit転位が導入される。電子顕微鏡で観測したその間隔は,20nm程度の値に飽和することを明らかにした。転位導入と同時に,結晶格子定数が物質本来の値に戻り,内部応力が緩和された状態に変化する。 4.Ti-38%Al2元合金と比べると,Zr添加はmisfit転位導入の臨界γ層厚を減少させ,Nb添加は逆に増大させることが明らかになった。このように,合金元素添加によって,γ/α_2界面構造を制御できる。
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