研究課題/領域番号 |
17360310
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
山田 裕 新潟大学, 自然科学系, 教授 (10242835)
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研究分担者 |
石川 文洋 新潟大学, 自然科学系, 助手 (50377181)
大野 義章 新潟大学, 自然科学系, 教授 (40221832)
松下 明行 物質・材料研究機構, 材料研究所, アソシエイトディレクター (30343859)
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キーワード | 銅系酸化物超伝導 / ダブルチェーン / NQR / d-pモデル / 擬一次元超伝導 / 高圧酸素合成 |
研究概要 |
我々は、極最近Pr_2Ba_4Cu_7O_<15-δ>(Pr247)酸化物において酸素還元処理を施すことにより超伝導が出現することを発見した。これは従来のCuO_2二次元面による超伝導とは異なり一次元CuOダブルチェーンによる超伝導であると考えられる。この超伝導の発見は銅系酸化物超伝導体における全く新しいタイプの超伝導の出現となるばかりでなく、その結晶構造から、一次元伝導機構による初めての超伝導物質であると考えられる。これを解明するためには、(1)良質な試料の合成、特に単結晶の育成(2)電気抵抗、ホール効果、低温比熱、NMRの異方性&圧力効果等の基礎的物性測定(3)d-pモデルを基礎にしたt-Jモデルを用いた理論的解析が必要となる。 本研究では上記の研究を系統的に行うことにより、この超伝導の機構を解明することを目的としている。 本年度は以下のような成果が得られた。 1.Pr247酸化物の良質試料合成と還元条件の確立を行った。その結果酸素還元量と超伝導遷移温度にベルカーブ的相関があることを明らかにした。またそのときの最高の超伝導遷移温度は24Kであり超伝導の体積分率は70%を超えることが明らかとなった。 2.純酸素圧10気圧中1100℃以上の温度を出せる電気炉により単結晶の育成を試みた。その結果大きさが1mm以下のためPr247単結晶そのものを取り出すことはできなかったが、還元処理することにより超伝導が15Kで起こることを確認した。またピンニング効果もあることがわかった。 3.Pr247酸化物の圧力下での電子輸送特性を測定した。その結果、加圧に伴い超伝導は消失し、その消失する圧力が酸素還元量に依存することを明らかにした。またいずれの試料も8GPa以上では半導体的振る舞いをすることを発見した。 4.Pr247の結晶構造解析データを基にバンド計算を行い、これによりダブルチェーンにおけるd-pモデルを基礎にした解析を行った。その結果今回のPr247の超伝導に関する実験結果を良く説明できることを示した。
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