研究課題/領域番号 |
17360316
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山根 久典 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (20191364)
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研究分担者 |
山田 高広 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (10358260)
高橋 純一 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (20261472)
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キーワード | スズ酸塩 / 多元系酸化物 / 結晶構造解析 / 単結晶構造解析 / セラミックス / 固相反応合成 / 新規物質 |
研究概要 |
希土類金属元素を含む酸化物については、近年、光・電磁気的機能を有する素材・材料として様々な研究開発かなされている。しかし、希土類金属元素を含む蛍光・発光体では、ケイ素やアルミニウムの酸化物をベースとするものがほとんどであった。本研究では、希土類元素-カルシウム-ゲルマニウム-酸素系と希土類元素-カルシウム-スズ-酸素系において生成する多元系酸化物を調べ、合成された新規物質についてその組成と結晶構造を明らかにし、結晶化学的な特徴を考察するとともに、それらの誘電特性や発光・蛍光特性を評価し、新規機能性材料としての可能性を示すことを目的とする。 1.多結晶体試料およひ単結晶の合成 ・本年度は、希土類金属元素-カルシウム-スズ-酸素系化合物の新規物質の探索を行った。希土類金属元素としては主にイットリウムを用いて実験を行い、Eu置換などについても検討した。原料としては、カルシウムは炭酸塩をその他の金属元素は2元系酸化物を用いた。 ・原料粉末を種々の組成で秤量混合し、ペレット状に成型後、白金板もしくは、白金・ロジウム板を敷いたアルミナ製ポート内に入れ大気雰囲気中、1000〜1500℃の温度で所定の時間加熱することで試料を作製した。その結果、新規化合物のCa_<0.8>Y_<2.4>Sn_<0.8>O_6とCa_<1.5>Eu_3Sn_<0.5>O_7とが発見された。 ・これらの新規化合物について、多結晶サンプルの長時間アニールによる結晶粒成長や、融液または部分溶融試料を徐冷することにより単結晶を作製した。 2.結晶構造解析 ・X線回折強度データをもとに、新規化合物Ca_<0.8>Y_<2.4>Sn_<0.8>O_6とCa_<1.5>Eu_3Sn_<0.5>O_7の格子定数を精密化するとともに、間群を選定し、直説法を利用して結晶構造モデルを導出した。 ・X線回折データから電子密度解析を行い、得られたモデルをもとに、原子座標や原子変位パラメータを精密化した。その結果、Ca_<0.8>Y_<2.4>Sn_<0.8>O_6はMg_3TeO_6型と同型構造であることか明らかになった。Ca_<1.5>Eu_3Sn_<0.5>O_7はこれまでに報告のない新たな結晶構造を有し、Eu_2O_3中温相の結晶構造との関連性が指摘された。
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