研究分担者 |
佐々木 聡 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 教授 (10162364)
伊藤 満 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 教授 (30151541)
神山 崇 高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 助教授 (60194982)
田中 雅彦 物質・材料研究機構, 物質研究所, 主席エンジニア (60249901)
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研究概要 |
1350℃で焼結した後、炉冷することにより合成したLa_<0.62(2)>Li_<0.16(1)>TiO_<3.01(3)>試料を用いた。日本原子力研究開発機構の研究用原子炉JRR-3Mに設置された角度分散型高分解能粉末回折計HRPDを用いて室温と77Kで測定したLa_<0.62>Li_<0.16>TiO_3の中性子回折データについてリートベルト解析、最大エントロピー法(MEM)による解析、MEMに基づいたパターンフィッティングを行った。最初にリチウム陽イオンの位置と占有率が互いに異なる様々な構造モデルを用いてリートベルト解析を行った。陽イオンと陰イオンに対してそれぞれ等方的および異方的原子変位パラメーターを用いた。次にリートベルト解析において出力される構造因子を用いてMEM解析を実施した。ここで実施したMEMの結果は信頼できると考えられる。その理由は、(1)構造因子の数が174個であること、(2)最も解析結果に影響を大きく与えると考えられる2θが最も低い001反射の構造因子を用いていることである。文献において提案されている構造モデルはいずれも不適切であることがわかった。というのも(1)REMEDYサイクルの後に得られた核密度分布がリートベルト解析で得られた構造モデルと矛盾する、あるいは(2)次に示す新しいモデルと比べて計算強度と観測強度の一致具合が悪いためである。Li陽イオンを空間群Cmmmの2c位置(分率座標1/2,0,1/2)に置いたとき、MPFにおける信頼度因子R_Iが最小になった。Liイオン伝導体,La_<0.62>Li_<0.16>TiO_3においてLiイオンはCmmm構造の2c位置に存在することがわかった.Liイオンは77Kでは局在化しているのに対し,室温では大きく広がり,2c-4f-2および2c-2d-2cに沿って拡散する.Liイオンの拡散にとってLa2サイトの欠損が本質的である.イオン伝導度を定式化するには,サイトパーコレーションモデルよりもボンドパーコレーションモデルが妥当である.
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