研究課題
本研究の目的は、我々が見出したまったく新しい巨大圧電特性の発現機構の解明とそれを用いた新規圧電膜の創製を行うことである。具体的には、以下の3つの研究を行う。A)基板からの拘束を系統的に変化させたPZT膜を作成し"ナノドメイン"を観察しながら圧電特性の評価を行うことで、今回見出した巨大圧電特性の起源の探索を行う。B)ドメインの動きや構造相転移の可能性を明らかにするため、これまでほとんど試みられてこなかった、"ナノドメイン"の動きや結晶構造変化を電界を印加しながらin-situ観察することで明らかにする。C)単結晶の研究がないPZT以外に、単結晶での研究が行われているPb(Mg_<1/3>Nb_<2/3>)O_3-PbTiO_3[PMN-PT]およびPb(Zn_<1/3>Nb_<2/3>)O_3-PbTiO_3[PZN-PT]についても同様の研究を行うことで、今回見出した巨大圧電特性の発現機構を解明する。初年度は主に下記の結論を得た。1)最も広く研究されている(100)/(001)配向のPZTエピタキシャル膜に関して、熱膨張率の小さなSiやSiO_2基板上に膜を作製することにより、従来にない(001)配向の体積割合が50%以下の膜を作製することに成功した。2)この膜は電界の印加によって、d_<33>で400以上の大きな圧電性が得られ、ドメインのスイッチングがその主な原因であると考えられた。3)これまで調べられている物質の中で最大の圧電係数が報告されているPZN-PTについて、原料を結晶のサイト毎に供給する"サイト供給MOCVD法"を開発し、この方法で初めてエピタキシャル薄膜の作製に成功した。現状は絶縁体基板上であるが、今後電極上に作製していく予定である。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (8件)
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