本研究では、点欠陥のナノ秩序に関する普遍な対称性原理を強誘電体物質に適応することを証明すると共に、この新しい原理に基づいて、巨大圧電効果及び付随する新現象と点欠陥の種類、濃度などの関係を詳しく研究することを目的とする。更に、巨大圧電効果を得られる最適材料と最適条件を見出し、新機能材料及び新マイクロアクチュエータやデバイスなどの創出も探索する。 18年度では、点欠陥の効果を中心に以下のような成果を挙げた。 1、single domain強誘電体における時効を世界初めて発見した。(PRB2006)。この発見により、点欠陥対称性原理は時効現象を支配する基本的な原理として樹立された。 2、acceptorとdonorの複合添加で時効による電歪効果の向上を果たした(APL2006) 3、強弾性材料において、点欠陥による特殊な状態-歪ガラスを世界初めて発見した。(PRL2006) 4、点欠陥による巨大減衰能を発見した。(APL2006、Acta Mater2006) 5、強弾性相転移に先立つ前駆現象について、初めて応力誘起相転移の前駆現象である弾性定数の軟化をmolecular dynamics simulationで明らかにした。変態前に方位によって、軟化と硬化の両方が存在することを示した。
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