研究課題
本研究ではNiを含まない新生体用超弾性チタン台金、特にTiNbAl合金に対し高エネルギー・高密度欠陥を導入し、加工熱処理し、組織、欠陥、特性の相関を明らかにすることを目的としている。本年は伸線加工に注目し、室温でβ相となるTi-24mol%Nb-3mol%Al合金に冷間溝ロール加工で最終伸線加工率約90%としたワイヤを作製し、圧延材及び873Kから1173Kまでの溶体化材について集合組織解析を行い、超弾性特性との関連性を明らかにした。その結果、圧延ままでは線材方向(RD方向)に伸びた<102>_β繊維集合組織が形成すること、溶体化熱処理温度873Kでは一次再結晶するが加工ままと同様の繊維集合組織を保つことを明らかにした。一方、溶体化熱処理温度が973K以上では二次再結晶し、その集合組織はRD方向に伸びた<110>_β繊維集合組織であることを明らかにした。α"マルテンサイト相とβ母相の格子対応と格子定数から、<102>_β繊維集合組織では最大引張格子変形2.6%、最大圧縮格子変形2.1%と、引張・圧縮共に2%以上の格子変形が発生でき、引張と圧縮の両方の格子変形が必要な曲げなどの超弾性変形に適した組織が形成できる。一方、<110>_β繊維集合組繊では最大引張格子変形は3.0%と大きいが最大圧縮格子変形は0.8%と小さく、圧縮が関与する変形には不適切である。特に超弾性ワイヤの実用利用では曲げ超弾性が利用されるため、90%程度の強い溝ロール加工と873K以下での溶体化処理により曲げ変形に適した<102>_β集合組織とする組織制御が可能であることを明らかにできた。また、第三元素を含むTi-Mo合金冷間圧延材についてもこれまでと同様に集合組織を評価し、Ti-Nb系と同様の集合組織形態を形成することなどを明らかにした。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (16件) (うち査読あり 15件) 学会発表 (17件)
Ti-2007 Science and Technology II
ページ: 1529-1532
Materials Transactions 48
ページ: 385-389
ページ: 367-372
ページ: 361-366
Materials Science Forum 561-565
ページ: 1517-1520
ページ: 1533-1536
日本機械学会2007年度年次大会 講演論文集 1
ページ: 151-152
Philosophical Magazine 87
ページ: 3325-3350
ページ: 1521-1524
ページ: 1525-1528
ページ: 414-421
ページ: 407-413
ページ: 395-399
金属 77
ページ: 44-48
Mat. Res. Soc. Proc 980
ページ: 0980-II-05-50